ガイド
花崗岩共用部・エレベーターホール、耐摩耗設計の考え方
マンション・オフィス・ホテルの廊下とエレベーターホールは、1日に何千歩も踏まれます。キャリーホイール、砂、清掃パッドが床の光沢を早く削ります。図面には「white marble floor」だけと書かれ、動線・仕上げ・滑りが空欄のことも多い。共用部では耐摩耗と安全が「高級感」より先です。
現場では「ロビーは大理石、廊下だけ花崗岩だとトーンが切れる?」「全部ポリッシュで統一できない?」「エレ前だけ滑るという苦情が来た」が繰り返されます。同一建物でもゾーンごとに石材・仕上げ・厚みを分けるのが現実的です。
本稿は、共用部・エレベーターホールの主動線に花崗岩を置く耐摩耗設計—仕上げ、滑り(DCOF)、厚み、目地、維持管理—を整理します。石材比較は大理石と花崗岩ガイド、ロビー全体はホテル・商業ロビーガイドもご参照ください。
面積・動線・希望トーンをお問い合わせいただければ、花崗岩・大理石の見積と原石(ブロック)・スラブ供給をご案内します。
まず押さえること:共用部床は「硬度 + 仕上げ」のセット
モース硬度では花崗岩はおおむね6〜7、大理石は3〜4前後。靴底の砂(石英、硬度約7)は、ポリッシュ大理石を研削材のように傷つけ得ます。花崗岩は同条件で摩耗は少ないが「無限に摩耗しない」わけではなく、仕上げ・清掃・動線設計がセットです。
吸水率も重要です。ASTM C615等では重量吸水率上限(例0.40%以下)や歩行面耐摩耗(Ha)が定められます。当該ロットの試験成績を供給者に確認してください。「花崗岩」名のすべてが同性能ではありません。
滑りは別軸です。ANSI A326.3等では室内水平歩行の湿潤DCOF最小約0.42が参照されることが多い。高光泽ポリッシュは見た目は高級でも湿潤時は基準下になる例が多く、エレ前・傘の水気区間は質感仕上げ(ホン、ブラッシュ、フレーム等)をゾーン指定するのが安全です。
1. ゾーンを分け石材の役割を決める
一行「全面大理石」より動線マップが先です。
- ゾーン — 負荷・リスク — 推奨
- 主廊下・エレホール床 — 高通行、キャリ、砂 — 花崗岩(またはクォーツタイト)+質感仕上げ
- ロビーフォーカス・壁・柱 — 視覚、接触少 — 大理石・オニキスアクセント可
- エレカゴ床 — 動荷、薄板 — 花崗岩+曲げ強度確認
- 入口・外気流入 — 湿気、滑り — ホン/ブラッシュ、マット、必要なら花崗岩単独
大理石を使うならボーダー・インレイ・限定ロビーに留め、無制限主動線には置かない設計が一般的です。トーン統一は同一石材より色・筋・仕上げ対比で行うことも多いです。製品で花崗岩・大理石トーンを並べてご覧ください。
2. 仕上げはポリッシュ一種で終わらせない
- 仕上げ — 共用部床 — 備考
- ポリッシュ — 動線・入口は慎重 — 光泽摩耗、湿滑
- ホン — 廊下・エレホールに多い — 落ち着いた光、DCOF改善
- ブラッシュ — 高通行向き — 質感、滑り感低減
- フレーム — 外部連結・高湿 — 粗面、清掃難
図面が「Polished granite」のみだと、入居後「濡れて滑る」クレームにつながりやすい。ゾーン別仕上げ表を仕様に入れ、湿潤状態でもサンプル確認を。維持は大理石・花崗岩管理FAQと連動します。
3. 厚み・目地・構造はエレホールで特に重要
床花崗岩は2cm・3cmが一般的。カゴ床は重量・有効高のため約12mm薄板も。薄いほど曲げ強度・下地・複合補強を構造と確認。供給者試験(flexural等)を構造レビューと合わせてください。
大判タイルは長廊下の目地・清掃負荷を減らします。変形用ジョイント・目地幅も設計に明記。目地色・材質は「見えない」だけでなく交換・維持まで。
壁クラッド・柱は機械アンカー・荷重分散を詳細に。床が花崗岩で壁が薄い大理石なら、保護モールディング・コーナーガードで損傷を減らします。
4. 納品・施工・維持まで仕様に
- ロット・トーン:廊下・エレホールは一続きに見える—承認範囲を文書化
- 入口:マット・排水—石材だけでは砂・水リスクを全て消せない
- 清掃:中性、研磨パッド禁止;商業は専門保守契約も
- AS:正常摩耗と欠陥の線引きを引渡前に
類似空間は施工事例。面積・仕上げ・工期をお問い合わせへ—ゾーン別見積・スラブ供給をご提案します。
5. 大理石と花崗岩を混ぜるときのトーン
「花崗岩床 + 大理石壁」は定番。①明度・グレー/ベージュ基調 ②仕上げ対比(床ホン・壁ポリッシュ) ③目地・モールディング・エレ扉金属色をセットで。サンプルは机ではなく床に置き照明下で。
エレホールは待機空間—床をやや粗めにしても高級に読める場合があります。床だけ高光泽だと壁・天井が平坦に見えることも—意図に合わせコントラストを調整してください。
6. 発注前チェックリスト
- 項目 — 確認
- 動線 — 主経路 vs アクセント
- 石材 — 花崗岩品種・試験(吸水・耐摩耗)
- 仕上げ — ゾーン別ホン/ブラッシュ/フレーム・DCOF
- 厚み — 床2/3cm・カゴ別
- 目地 — フォーマット・目地・変形許容
- 維持 — マット・清掃・抛光周期
- 工期 — ロット確保・段階施工
MarbleBestは花崗岩・大理石見積と原石・スラブ供給をご相談に応じます。図面・面積・動線写真をお問い合わせへ—共用部に合う石材・仕上げをご提案します。
よくある質問
廊下床に大理石は使えない?
不可能ではないが、無制限高通行・砂・キャリの主動線では摩耗・滑り・維持費リスクが大きい。大理石はアクセント・低通行区画に留める設計が多い。
花崗岩も全部ポリッシュで統一?
見た目は統一できるが、入口・エレ前は湿滑・光泽摩耗の懸念。ゾーン別質感仕上げを推奨。
DCOF 0.42とは?
室内水平歩行の湿潤滑り指標。ANSI A326.3等で最小約0.42が参照されることが多い。最終はプロジェクト・現地規格に従う。
エレカゴ床の厚みは?
現場により異なり約12mm薄板も。重量・曲げ・下地を構造と確認。
花崗岩はシーリング不要?
大理石より吸水は低いが「不要」とは品種・仕上げ・環境次第。納品時の管理案内を確認。